報告書によると、マウイ島ラハイナの郊外で早朝6時過ぎに断線した電線からの火花が枯れ草などに燃え移り火災が発生し、消防は2時間半後に鎮火したと発表していた。しかし、実際には火は完全に消えておらず、午後再び近くで出火し燃え強風に煽られて火災がラハイナの街に広がった。
当日は強風警報が発令されていて、火災が発生するおそれが高いにも関わらず送電を続けた電力会社や消防などを管轄するマウイ郡の責任などが指摘されている。報告書はまた、火災は事故だったとしたうえで、火災の責任を負う人を特定することは分析の範囲を超えているとしている。
火災の危険性が高まる可能性は、国立気象局によって十分に予測されていた。ラハイナ大火災が発生する4日前に、ホノルル気象局はハリケーンの強風によって「火災の危険性が高い」と警告していた。大火災2日前に、政府機関は風と火災の天候がどのように被害をもたらすかを示す予想アニメーションを公開していた。
ラハイナは北東から南西へ向う下り坂の風の直線上にあった。火事が発生したら、ラハイナの山手から海に向かっていく。 マウイ島では2018年の山からの火事で山に近い家屋が21戸も焼失する山火事災害があったばかりだ。にもかかわらず、行政は何も対策を取っていなかったのだろう。当日の午前の枯れ草の火災を甘く見ていた。マウイ島の最高責任者であるマウイ郡長と緊急事態管理者が大火災を知ったのは翌日だったのが驚かされる。
誰かを責めても多くの失われた命とラハイナの街は戻ってはこない。原因がわかるにつれて、大火災は避けることができたはずだと思えてならないのが残念である。