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1927年春、ワイキキにピンク・パレスのロイヤル・ハワイアン・ホテルが開業しました。当時のワイキキにはモアナ・サーフライダーホテルなど数軒のホテルしか建っていない87年前のことです。

その同じ年の夏にワイキキビーチから少し離れたカピオラニ公園のビーチサイドに建てられたのが、ワイキキ戦争記念プール(Waikiki War Memorial Natatorium)でした。ハワイから第一次世界大戦に参加した1万人の兵士をたたえるために建てられたものです。中央の入口の天辺には四羽の鷲が羽を広げて立っている立派な建物です。

縦100m、横40mの珍しい海水プールです。サーフィンでも有名なハワイの有名人、オリンピックで金メダルも受賞したデューク・カハナモクがオープニング・イベントで初泳ぎを披露しています。その日には7千人の人が集まったと言われています。

その後は、日本などの有名な選手を迎えた数々の世界的な水上競技大会の舞台となりました。戦前には、昭和史に残るNHKの実況放送「前畑ガンバレ!」の1936年ベルリンオリンピック200m平泳ぎ金メダリスト前畑秀子がこの記念プールの大会に参加しています。ここで、数々の世界新記録が樹立されました。

施設の老朽化が目立つようになった1979年、ついに記念プールは閉鎖されました。崩壊の恐れがある危険な建造物と指定されたのです。それ以来この記念プールは、取り壊しを巡ってさまざまな論議が交わされてきました。1973年には、最高裁は歴史的建造物の取り壊しは違法との判断を下しています。

昨年、ハワイ州知事とホノルル市長がこの地を公共の記念ビーチに変えて、入口中央の歴史的建物を移設する案を提示しました。完全に補修工事をして保存した場合69.4ミリオンドル(約70億円)かかるのに対して、18.4ミリオンドル(約19億円)の費用で済みます。現在検討されている案は、来年にはより具体的なプランに変わっていくようです。 

いずれにしても、ハワイの歴史を刻んできたワイキキ戦争記念プールの運命のゆくえが気にかかります。ここにきて、本土の関係機関が国の歴史的建造物「国宝(National Treasure)」に指定しようとする動きがでてきているのです。この建物の87年の歴史に想いを馳せながらワイキキビーチを散歩するのも、時にはいいものです。



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