ハワイも夏の強い日差しになり、アメリカの子供たちは長い夏休みを迎えています。毎年繰り返される、子供をターゲットとした夏商戦のスタートです。子供をターゲットとした映画がぞくぞく封切りになっています。


全米で18日に公開され、先週末3日間の全米興行収入が1億900万ドル(約98億円)で、全米オープニング成績で歴代10位の大ヒットスタートになったトイ・ストーリ3。アニメ映画の初日興収としては、歴代1位の記録になりました。


それに先立ち、先々週封切られたのが先日紹介した気になる映画「the Karate Kid 」です。予測どおり、これも大ヒットの兆しです。週末興行で5600万ドル(約51億円)の北米映画興行収入ランキング初登場1位を記録しました。ほか、マレーシア、シンガポール、インド、フィリピン、インドネシアでも初登場1位を獲得しています。中国では、22日に封切されたばかりです。


基本ストーリーはリメイクなので最初から分かってるのに、それでもまた観に行くのはオリジナルの力が大きいでしょう。ジャッキー・チェンの力も忘れてはいけません。オリジナルを観ている人は、どんな風にリメイクされているのかやはり気になり観たくなります。ストーリーは大ヒット作のリメイクですので、初めて観る人にも受けることは確かです。これから興行収入を伸ばしていけば、シリーズものにもなりそうです。


本作は、中国の制作会社チャイナ・フィルムとコロンビア・ピクチャーズが共同で製作したもので、時代背景に中国経済の世界の今の位置関係を考えてみるとおもしろくなります。題名こそヒット作の「カラテ」になっていますが、内容は「カンフー」です。


オリジナルがヒットした時代背景は、日本が世界にその経済力を見せ付ける時代背景がありました。そして、バブル景気を迎え、この映画は日本のマーケットを意識していました。日本(カラテ師匠)がアメリカ(アメリカ少年)を支える姿が映画に反映されていました。そして、日本の30年前のアメリカ経済を支える役を、日本に変わって今は中国が担う時代となりました。現在の世界の経済は、中国抜きでは考えられません。


今月になって、私たちの耳に入ってきている中国での相次ぐ日本企業でのストライキ。ホンダ、トヨタ、パナソニックなど日本の大企業での賃上げのストライキに歯止めがかかりません。所によっては、度重なるストライキに屈して、すでに50%も賃上げされている企業もあるそうです。中国政府先導の国民所得倍増政策に、より豊かな生活を求めて中国国民がみな豊かになろうとしています。


中国は巨大なマーケットです。自動車産業だけでなく、ハリウッド映画が中国のマーケットに力を入れるのは当然な成り行きです。豊かになっていく中国の人々が、徐々に映画館に足を運ぶ機会が増えるでしょう。ハリウッド映画はそのチャンスを見逃すはずがありません。


この新作リメイク「カラテ・キッド」は、まさに巨大マーケット中国を意識して製作された映画です。最近になってそれをよく意識させるのが、映画が終わって流れるエンディング・クレジット(出演者・製作スタッフ名)が英語と中国語表記になっています。アニメ映画「アストロ・ボーイ(鉄腕アトム)」もそうでした。


原題には「カラテ」が入っていますが、本編には「カラテ」の一言もありません。日本がまったく無視され、図らずも現代を象徴してるかのようです。これからは、ますます中国の巨大マーケットを意識した映画作りがされることでしょう。数年前に大ヒットしたアニメ映画「カンフー・パンダ」につづき、「カラテ・キッド」もたくさんの子供たちに観られることでしょう。


それにしても、最近80年代にヒットしたリメイクがなんと多いこと。ハリウッドは創造力が枯渇しているのでしょうか?


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