世界遺産にも登録されている京都宇治市の平等院がハワイにもあります。日本の1万円札と10円硬貨のデザインになっている日本人にはとても馴染みのある寺院です。


カネオヘにある Valley of the Temples Memorial Park と言う公園墓地内の路を進んでいくと、一番奥に鮮やかな朱色の平等院が緑のコウラウ山脈を背景に見えてきます。1052年に建立された京都の平等院を模して、1968年にハワイへの日本人移民100周年を記念して、建立されたものです。この広大な墓地公園では、キリスト教から仏教までさまざな宗教のお墓を見ることができます。「仏の救済はすべてに平等」と平安時代に建立された平等院ですが、このハワイの平等院もさまざまな宗教のお墓が眠る場所になっています。


外国人観光客に人気のある場所のようです。私が訪れた日も大型観光バスから、たくさんの観光客が訪れていました。日本の歴史ある建造物のレプリカを観光する外国人観光客をハワイで見るのは、何か不思議な感じです。3ドルの入場料を払って、境内に入っていくと立派な鐘楼(鐘つき堂)があります。ここは誰でも自由に鐘をつくことができます。

京都平等院の梵鐘は、日本三名鐘のひとつにも数えられているそうですが、このハワイの梵鐘もオリジナルとそっくりに鋳造されています。鳳凰、飛天、獅子、唐草などの模様までそっくりです。大阪で鋳造された梵鐘は5フィート(1・5m)、3トンある立派なものです。観光客のつく鐘の音が、コウラウの静かな裾野で厳かな気持ちにさせてくれます。


阿弥陀如来坐像が安置されている中堂は、日本のように土足では入れません。中央の扉を開放すると、柱間の格子は本尊の頭部の高さに円窓が設けられていて、建物外からも本尊阿弥陀如来の面相が拝めるようになっているのは、京都平等院と全く同じです。中堂の屋根の上には、1万円札のモデルの鳳凰像が据えられています。ハワイの平等院がコンクリート製であることを除けば、京都の平等院を見ているようです。


堂内の阿弥陀如来坐像も立派なものです。いぬい・ますぞう氏による、日本国外に存在する木造最大の阿弥陀如来像です。9フィート(3m近い)もある見事なものです。オリジナルの阿弥陀如来像と大きさも同じで、中途半端なものではありません。京都の国宝級の如来像にも負けない風格があります。


鳳凰堂や仏像が同じだけでなく、建物正面中央の石灯籠、鐘楼の位置、池の形まで模倣されています。もちろん、建物は京都と同じように東向きで、参拝者が阿弥陀如来像を拝むと西方浄土を向くことになります。模倣もここまで徹底されると、本当に見事としかいいようがありません。


京都の木造平等院は長い月日を経て色あせてしまいましたが、950年以上前の創建当時はハワイの平等院のように鮮やかな朱色に彩色されていたはずです。静寂の中、苔むす岩の合間を流れる小川のせせらぎは、ハワイのものとは思えません。竹林の葉が風に揺れ、擦れる音に耳をすますと、平安の京都にいるような錯覚さえします。今度またゆっくり訪れたいと思うハワイの平等院でした。


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