ローマ教皇のバチカン宮殿にあるシスティーナ礼拝堂には、世界に有名なミケランジェロの壁画があります。旧約聖書の創世記からの「アダムの創造」は、美術をよく知らない人でも一度は見たことのある有名な絵画です。バチカン宮殿の礼拝堂のフレスコ画の中でも世界的にもっとも有名な作品です。
このシスティーナ礼拝堂のミケランジェロの「アダムの創造」をハワイでも見ることができるのです。イタリア・トリノ出身のグラフィックデザイナーだったセルジオ・ミトリッティ氏は、ニューヨーク、ロサンゼルスを経て３０年ほど前にハワイにやって来ました。ビバリーヒルズでは、高級品を扱うブティックの経営をしていました。
食べることにかけてはイタリア人らしく誰にも負けない味覚を持っていました。トリノの故郷で、ニューヨーク、ロサンゼルスでさまざまな料理を食べて、食べることにはプロを自称していたセルジオ氏が、ハワイに来てレストランをオープンすることを決心しました。
レストランに入って目を引くのは、店内の壁いっぱいに大きく描かれた壁画のかずかずです。驚くことににグラフィックデザイナーだったセルジオ氏が自ら一人で描いたものなのです。店名の「システィーナ」がバチカン宮殿の礼拝堂から取られたように、店内のフレスコ画はすべて礼拝堂の壁や天井に描かれたフレスコ画を模して絵がかれたものです。
ワイキキから少し離れたキング通り沿いにあるレストランで、手ごろ（一品＄２０以内）に美味しいイタリアンが食べられるレストランとしてハワイの住人に支持されています。私はここのカルボナーラがハワイで一番だと思っています。
「カフェ・システィーナ」のカルボナーラがもう食べれなくなるかもしれないと聞いて、先日友人のジョニーと最期になるかもしれないカルボナーラを食べてきました。フラスコ画を自ら描いたオナーだったセルジオ氏が、レストランを韓国系アメリカ人に売却したのです。
「カフェ・システィーナ」は経営者が変わって、すでにメニューが変わっているそうです。ハレイワのレストランを閉めたジョニーもセルジオ氏も次の人生のステップを歩みだしています。慣れ親しんだ味に空間がなくなるのは寂しいものです。
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