
我家に郵便物を届けてくれる郵便配達のおじさんが、30年近い配達の仕事を退職することになった。私がここに引っ越して以来、毎日のように10年以上我家の郵便受けに手紙を届けてくれた。
400世帯近くある集合住宅(コンド)の郵便受けに仕分けする仕事は、一時間以上の時間がかかる一仕事(ひとしごと)だ。日系3世の配達のおじさんは宛名と部屋番号を黙々とチェックしながら、間違えないように気を配りそれぞれの郵便物を手際よく仕分けする。ジムで一汗流した後、何度かコンドの更衣室で申し訳なさそうな顔をしてランチのサンドイッチを食べているのに出くわし何度か挨拶を交わしたことがある。
「ここは冷房が効いて、ウォーター・クーラー(水飲み場)もあるし、少し利用させてもらうよ」
郵便配達のおじさんが退職すると聞いて、長年の配達の仕事の労をねぎらいコンドのマネージャーや住民の何人かが、彼のためにちょっとした宴を設けることになった。いつものように、郵便配達のおじさんは配達車をコンド前に止めた。住民を代表してコンドの管理組合の代表の一人の女性がレイ(花輪)を用意して、おじさんの首にかけると、おじさんは照れくさそうに感謝の気持ちを述べた。
ピザや寿司が用意されたホールには、10人ほどの住民がレイを首にかけた郵便配達の伯父さんを待っていた。それぞれが感謝の言葉を交わし、おじさんと握手をする。女性の中には、親しみを示してハグする人もいる。腰を下ろして、しばらく軽食を片手に話に花が咲く。
新しく私たちに郵便物を届けてくれるのは、退職したおじさんの子供くらいの年の女性だ。いままでは、3時前には仕分けが終わっていたのが、慣れないのか4時を過ぎても仕分けが終わらない。退職したおじさんの寡黙に仕分けする姿は、私の生活の一部だった。
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