物理学者であるオッペンハイマーは、第二次世界大戦中に核兵器を開発するマンハッタン計画を指揮するのに抜擢され、原子爆弾の開発に成功した。彼の栄光と挫折、苦悩と葛藤を映画が描いている。原爆を作ったオッペンハイマーの物語で、広島と長崎の被害はスクリーンには全く映し出されない。核の怖さをオッペンハイマーが一番知っていた。
マット・デイモン、 ロバート・ダウニー・Jr. 、エミリー・ブラント などの俳優が脇役ながら作品を引き締めている。日本でも早く封切になって、たくさんの人に見てもらいたい映画だ。歴史は8月6日と9日の点だけを見ないで、流れで見なければ正しい歴史の理解は難しくなる。
B29爆撃機が原爆を投下したという事実しか知らないのは、本当の事実を知ったことにはならない。原爆の開発の過程とその後の影響などを偏った情報だけで伝えられるのは間違ったことだ。広島と長崎への投下に至る経緯は、日本の歴史書のような簡単なものではない。世界で唯一の被爆国民である私たち日本人の多くに見てもらいたい作品だ。日本で公開されないとしたら、それはとても残念なことだ。

